「積立投資って、いつまで続ければいいの?」
「結局、いくらあれば大丈夫なの?」
そんな疑問に、41歳の私が実際に数字を出して向き合ってみた話です(生後9ヶ月の娘を育てています)。
先に白状すると、計算する前の私には「ある程度まで作った資産を回していけば、なんとかなるんじゃないか」という感覚がありました。生活費を小さく保ってきたし、資産も手取り14万円の頃からコツコツ作ってきた。ただ、その「なんとかなる」を数字で確かめたことは、一度もなかったんです。今回やったのは、その答え合わせ。結果——楽観が少し壊れたところまで含めて、正直に書きます。
読み終わる頃には、あなた自身の「必要額」を10分で出す方法も分かるようにしてあります。
「卒業ライン」という考え方と、「×25」の正体
その「いくらあれば回していけるのか」という感覚に、名前と式をくれたのが、リベ大・両学長の発信で知った「積立投資の卒業ライン」という考え方でした。
式はこれだけです。
「なんで25倍?」と思いますよね。
ざっくり言うと、「運用を続けながら、毎年資産の4%ずつを取り崩して暮らしていける」という研究(4%ルール)が元になっています。
25という数字は、この「4%」の裏返しです。100 ÷ 4 = 25倍。年間の不足額の25倍を持っていれば、その4%がちょうど1年分の不足額になる、という関係です。「25年で使い切る」という意味ではありません——運用しながら取り崩すので、計算上はずっと長持ちする、ということ。
もし「3%ずつ取り崩す」で考えたい方は、100 ÷ 3 = 約33倍で計算すればOK。この先「×25」が出てきたら、「4%で取り崩す前提の数字ね」と思い出してください。
たとえば、月の生活費が20万円で、年金の見込みが月14万円の人なら——
「老後2,000万円問題」に近い数字が出ましたね。
実はあの「2,000万円」は平均値の話で、この式の良いところは、自分の生活費と自分の年金で計算し直せることです。生活費が小さい人ほど、年金が多い人ほど、あなたのラインは下がります。
そして、ひとつだけ大事な注意を。卒業するのは「積立」であって、「運用」ではありません。積立をやめたあとも運用は続ける——だからこそ資産は65歳まで育ち続けて、取り崩しを始められる。卒業ラインは、その前提で成り立っている数字です。
使う数字は2つだけ。まず、あなたの「月の生活費」
ここからは、私を例にしてみますね。
我が家の家計は夫と折半です。なので今回は「私ひとり分」で計算しました。
私の生活費は、折半分と個人の出費を合わせて月8万円ほど。ここに年金を当てはめれば、卒業ラインが出ます(ここから先は、あなたの生活費に置き換えながら読んでくださいね)。
ところが、ここで問題がひとつ。
私、自分の年金の見込み額を、正確には覚えていませんでした。
(実は前に一度、両学長の遺族年金の解説をきっかけに調べたことがあったのですが、すっかり忘れていたんです。)
ということで、次です。
ねんきんネットの10分で、必要額が850万円変わった
私の年金の履歴は、ざっくりこんな感じです。
・個人事業主の期間が、通算7年ほど
・免除してもらっていた期間が、十代の頃と、独立後の収入が少なかった時期に合わせて数年(追納はしていません)
・厚生年金は、正社員だった2年ほどだけ
・あとは基本、国民年金(今は出産を機に、夫の扶養に入っています)
この履歴なので、「年金は月4万円くらいかなぁ」と、少なめに見込んでいました。
その想定で計算すると——
——となります。
(年金をかなり少なめに見込んだのに、先ほどの例の1,800万円よりだいぶ低いですよね。生活費が小さいと、ラインはこんなに軽くなるんです。)
そこで、ねんきんネット(年金記録をスマホで見られる公式サイト)で、改めて自分の見込み額を確認してみました。もちろん、免除期間があってもちゃんと試算してくれます。
結果、私の年金額は月68,096円。思っていたより、ずっと多かったのです…!
※この見込み額は、「今の加入状況のまま60歳まで続いたら」という前提の数字です。私の場合は、出産を機に夫の扶養に入っている今の状態が続く前提。ご自身で国民年金を納めている方なら「このまま納め続けたら」、会社員の方なら「今のまま働き続けたら」の見込みが出ます。
よって、私の場合は——
(卒業ライン=これだけ資産があれば、65歳からは「年金+取り崩し」で暮らしていける、という金額でしたね。)
1,200万円だと思っていた必要額が、357万円に。ねんきんネットを見た10分で、850万円変わりました。
もしあなたが自分の年金額を知らないまま老後の心配をしているなら、何より先に、ねんきんネットを見ることをおすすめします。不安の正体の大部分は、「知らないこと」かもしれません。
覚えるのはこれだけ——「月1万円の固定費 = 300万円」
卒業ラインの式からは、おまけが出ます。なんと、
毎月の固定費が「老後の資産いくら分」なのか、換算できるようになるんです。
月1万円を、式に入れてみると
例えば式に、「月1万円の固定費」の場合を入れてみます。
1万円 × 12ヶ月 × 25 = 300万円。
要は、「毎月+1万円の固定費が老後も続くなら、卒業ラインが300万円上がる」——つまり、資産が300万円余分に必要になる、という意味です。「25年で合計300万円使う」という支出の話ではありません。
なぜ300万円?——「月1万円が出てくる自動販売機」
仕組みはこうです。資産300万円を年4%で取り崩すと、年12万円=月1万円。300万円の資産が、月1万円の固定費を一生まかなってくれる。裏を返せば、月1万円の固定費には、資産300万円分の重さがあるんです。
「なんだか頭がゴチャゴチャしてきたよ」という方へ。私も理解するまで時間がかかったので、たとえ話をひとつ置いておきますね。
300万円は、「月1万円が出てくる自動販売機」です。この自販機(運用中の300万円)は、毎月1万円をずっと出し続けてくれます。だから、一生続けたい月1万円の固定費がひとつあるなら、自販機がひとつ余分に必要——「積もって300万円になる」のではなく、「300万円の機械を先に持っていないと、月1万円はずっとは出てこない」。向きが逆なんです。

ちなみにこの自販機は、「運用しながら取り崩す」前提の話です。現金のまま300万円を月1万円ずつ使うと、ちょうど25年で空になります。運用が毎年補充してくれるから、出し続けられる——卒業ラインの式そのものが、「運用を続ける人」のための式なんです。
※この換算——4%で取り崩すなら、月1万円=300万円——は、誰でも共通です。かんたんに言えば、「今から月1万円ずつ取り崩したいなら、今300万円を運用していればいい」ということ。取り崩しを始めるのが20年後の人なら、20年後までに300万円に育っていればOKです。
(もちろん、月1万円だけで生活はできませんよね。1万円は、わかりやすくするための“単位”です。月3万円の固定費なら900万円、月5万円なら1,500万円——同じ掛け算で増えていきます。)
私の家計で実演——AI課金・月2万円の場合
この換算を、私も自分の家計でやってみました。思い当たったのは、AIへの課金。ブログやアプリ作りの道具として月2万円ほど使っているので、一生続ける前提なら、卒業ラインが600万円上がる計算になります。
もっとも、私のAI課金は、今の生活をもっと便利にするための道具代で、老後まで続けるかどうかは正直まだわかりません。なので実際の計算では、「老後も続けた場合」と「65歳でやめた場合」の両方で試算しました。「一生続ける固定費なのか、期間限定の道具代なのか」——あなたの固定費も、この仕分けをするだけで見え方が変わると思います。
固定費にはもともと敏感な方でしたが(独立したての赤字の時期に、かなり鍛えられたので)、この換算を覚えてからは、サブスクひとつ契約するときの目が、また一段はっきりしました。月々の金額ではなく、「これを一生続けたら」で見る。節約術を何十個覚えるより、この1つの数字の方が効くかもしれません。
結果——「65歳から先」は合格。しかし・・・
で、肝心の答え合わせです。
私の資産額はここでは伏せますが、結果は——卒業ラインを超えていました。正確に言うと、「65歳からの老後の口座」は合格だった、という意味です。
どういうことか。今ある資産をこのまま運用しておけば、65歳から先の生活費(年金で足りない分)は、もうまかなえる見込み——ということです。
正直、このときは「よかった」と、ほっとしました。計算する前の私はどちらかというと楽観寄りだった——19歳からお金とも人生とも自分の頭で向き合ってきた、その積み重ねの「体感」があったからだと思います。実際、老後の口座は体感どおりでした。
でも、体感は「経験したことのない状況」までは測れません。本当の答え合わせは、ここからでした。
落とし穴——同じ「合格」でも、いま収入があるかないかで話が変わる
——と、ここで終わると気持ちがいいのですが、正直に書いておきたい話があります。
「え、生活費込みで計算したのに?」
私も最初、そう思いました。
でも、卒業ラインの式が出してくれるのは、「65歳から先の生活費」だけなんです。式に入れる「生活費−年金」は、あくまで「老後に毎年足りない分」のこと。今日から65歳までの生活費は、「その間は今の収入で暮らせるよね」という前提で、式に含まれません。
つまり——たとえ卒業ラインを超えていても、いま収入がない・少ない人は、私のように「老後の前に足りなくなる」可能性がある、ということです。
私の場合——老後を待たずに、資産が尽きる計算に
私は今、育児中で収入がほとんどありません。だから、その前提が当てはまらない。試しに試算のアプリ(AIで自作)に、「このまま収入がなく、生活費を資産から出し続けたら?」という条件を入れてみたら——老後を待たずに、資産が尽きる計算になりました。老後の口座は合格なのに、その口座を先に食い潰している状態だったんです。

正直に言うと、ここで初めて心配になりました。計算する前の方が、よっぽど楽観的でいられました。
振り返ると、感覚がずれていた理由も分かります。ここ数年の株式相場は、異例とも言われる好調ぶり。収入が止まっていても、私の資産は微増ながら増えていたんです。相場がそんなに甘くないことは、頭では分かっています(コロナショックも経験しています)。それでも、「情報の巡りが速い今の時代は、下げても戻りが早いだろう」と、どこかで甘く見ています。だから、好調な相場ではなく平均リターンで計算した数字を突きつけられて、不安になりました。
それでも、知らないまま楽観し続けるより、ずっとよかったと思っています。課題がはっきりしたからです。
見つかった課題と、「数字は運命ではない」こと
私の課題は、老後資金を積み増すことではなく、「65歳までの生活費をまかなう収入を作ること」。娘が卒乳してこども園に通い始めれば、まとまった時間ができます。お休みしているYouTubeも再開できるし、このブログも、その架け橋の一部かもしれません。数字が示したのは「今のまま何も変えなければ」であって、必ずではない。変える前提がはっきり見えたこと——それが、この計算の一番の収穫でした。
だからあなたも、卒業ラインを出したら、あわせて「そこまでの生活費」も確認してみてほしいです。
といっても、毎月の収入で生活費をまかなえている方は、ここは心配いりません。確認してほしいのは、私のように収入がない・少ない時期の方や、これから収入が減る予定のある方です。
確認のしかたは、ざっくりならこれだけ。
私はAIと自作した試算アプリで確認しましたが、スマホの電卓でも十分です。
老後の口座と、それまでの生活費。安心の設計図は、この2つセットで完成します。
あなたの卒業ラインの出し方(3ステップ)
最後に、やり方をまとめます。難しい計算は要りません。
ざっくりでOK。家計簿がなければ、先月のカード明細と現金の出入りを眺めるだけでも。
STEP2ねんきんネットで年金の見込み額を見る
スマホで10分です。ねんきんネットの「かんたん試算」を使えば、免除期間があっても見込み額が出ます。
STEP3式に入れる
(月の生活費 − 年金月額)× 12 × 25 = あなたの卒業ライン
出てきた数字が、思ったより小さくても大きくても、それがあなたの「現在地から見える目標」です。私のように、ねんきんネットを見ただけで「必要額が850万円下がった」——そんな嬉しい誤算が見つかるかもしれません。
そして、あなたの「たぶん大丈夫」も「なんとなく不安」も、検証する価値のあるデータです。数字にすれば、「確信」か「早めの軌道修正」のどちらかに変わる——どちらに転んでも、損はありません(私は、両方でした)。
最後にもうひとつだけ。卒業ラインが出たら、「65歳までの生活費」もセットで確認を(さっきの落とし穴の章の、橋の計算です)。これで、あなたの設計図は完成です。
※この記事は、私個人の体験と試算をまとめたものです。特定の金融商品や投資行動をおすすめするものではありませんし、試算は将来を保証しません。投資には元本割れのリスクがあります。最終的な判断はご自身で行ってください。
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