産後の家事分担、みなさんはどうしていますか?
私は自治体の両親学級で、家事の役割分担表のようなものをもらいました。夫婦で話し合って、どちらが何を担当するか決めておきましょう、というものです。
「ちゃんと決めておいた方が、あとで喧嘩にならない」とも聞くし、でも細かく決めるのはなんだか窮屈そう——どうするのが正解?と迷いますよね。
でも私は、考えた末に「決めない」ことを選びました(生後10ヶ月の娘を育てている、42歳の母です)。
今回は、分担を決めなかった理由と、産前産後のリアルな経過、そして夫がどう変わっていったかを書いてみます。
家事分担表は作るべき?私が作らなかった4つの理由
もらった分担表を前に、「やった方がいいのかな」と一度は考えました。その上で、これまでの夫婦の経験から「うちには合わない」と判断しました。
① 反応が薄かった夫
実は、この分担表をもらった両親学級には、夫も一緒に行っていました。妊娠中、反応が薄めだった夫に、少しでも当事者意識を持ってもらいたくて。育児が始まってからのことも考えて、こういう教室には一緒に来てもらっていたんです(と言っても、行けたのは2回だけですが)。
その分担表を、夫に「こんなのあるよ」と見せてみました。返ってきたのは、「ふーん」。流すような目で見るだけ。特に言葉もないまま、分担表の会話は終わりました。……やっぱり、こりゃダメそうだな、と。
② 担当を「決める」と「義務」になる
そしてここからの②〜④が、夫の反応以前からあった、根っこの理由です。
実は我が家、同棲していた頃から、あえて担当を決めていませんでした。担当を分けた先に何が起きるかが、なんとなく見えていたからです。
それは、担当を「決める」と、家事は「義務」になる。
そして、義務になった家事に、「ありがとう」は生まれにくい。
決めていなければ、相手がやってくれたことは、全部「やってくれたこと」。同じ一つの家事が、決め方ひとつで、不満の種にも感謝の種にもなる。
これはどちらかの性格の問題ではなく、人間の心理だと思うんです。
③ 「これはどっちの担当?」が無限に出てくる
三つ目の理由は、細かく決めてしまうと、どこまでもキリがないから。
家事は名前のついていない細かい作業の集まりなので、決め始めると「これはどっちの担当?」が無限に出てきます。
それに一度決めてしまうと、
「担当のはずなのにやっていない」
というモヤモヤが、後々ストレスの元になりそうだったから。
④ 「損した気分」が、担当を崩していく
それに、担当を決めていても、体調不良などで「自分の担当ができない日」は必ずやってきます。そのときは、相手に代わりにやってもらうことになりますが——ここに落とし穴があると思うんです。
代わりにやった側に、損得勘定が湧きやすい。担当外のことをやったら、なんだか損した気分。「これを代わってあげたから、次はあれをやってもらおう」。そんな“貸し借り”の交換が始まると、決めたはずの担当はどんどん崩れていって、残るのはモヤモヤだけ。
ルールで守ろうとした平和が、ルールがあるせいで崩れていく——そんな未来も、大いにあります。
だから、我が家はこうです。お互い気がついた方がやる、で十分。これならルールは、たった一つ。無限に増えていく取り決めを、「気づいた方がやる」の一つで置き換えられるんです。
もちろんこの方式には、「気づく側にばかり負担が偏りやすい」というリスクもあります。そのリスクをどう考えて、どう対策したのか——このあと順番にお話ししますね。
使わなくても活躍!分担表は「見せる道具」だった
もし両親学級などで分担表をもらったら、使わない派のあなたも、しまい込む前に一つだけ——パートナーに「こんなのあるよ」と見せてみてください。家事が一覧になった「可視化」の力は本物です。名もなき家事のあれこれを言葉で説明するより、一覧をパッと見せる方が、ずっと早くて伝わります。
うちも、使わなかった分担表ですが、もらえたこと自体は良かったと思っています。一人暮らしの経験がなく、家事をほとんど意識したことのなかった夫に、家事の全体像を見せることができたからです。
夫が見たのは、パッと2〜3秒。面倒くさそうな目で眺めて、終わりでした。でも「面倒そう」と感じたということは、「家事ってこんなにあるんだ」と、無意識レベルにでも訴えかけられたんじゃないかなと。あのときの夫の「面倒そう」は、家事にピンとこないが故のもので、深くは考えていなかったと思います。……それでもきっと、ゼロではないはずなので。
使わなくても、「見せる道具」として優秀——分担表には、そんな価値もあると思います。
「分担表」を作らない、メリット・デメリット
「決めないなんて、結局うまく回らなかったらどうしよう?」と心配ですよね。ここからは、産後に「決めない」でやってきた我が家のリアルを——良かったことも、弱点も、正直にお話しします。
担当を決めない、メリット3つ
実際に決めないまま産後を過ごしてきて、感じているメリットはこの3つです。
① 管理の手間が、そもそもない
表を作る・見直す・「できてる?」とチェックする——この作業自体が、名もなき家事の新入りになります。決めなければ、この管理コストはゼロです。
② 「これはあなたの担当でしょ」という衝突が起きない
担当を決めると、やっていないときに「担当なのに」という気持ちがどうしても生まれます。先ほどの話の通り、決めていなければ、誰かがやってくれたことは全部「ありがとう」に変わります。
③ 産後の体調に合わせて、柔軟に動ける
これが産後には一番大きいと思っています。産後の体調は、日によって本当に読めません。昨日できたことが今日はできない。そんなときに「私の担当だから」と無理をする仕組みより、動ける方が動く仕組みの方が、体にも心にも優しかったです。
食後の食器洗いは夫担当にしている我が家
実は我が家にも、たった一つだけ固定の担当があります。食後の食器洗いは、夫。(この経緯は後半でお話ししますね。)
ちなみに、時々私が気が向いて食器を洗うと、夫は「ありがとう!」と感激してくれます(笑)。
「全部決める」か「全部決めない」かの二択ではなくて、核になるものだけざっくり決める——そんな中間の形もある、というのは伝えておきたいです。
担当を決めない、デメリット
もちろん、担当を決めない方式が万能だとは思っていません。この方式にもはっきりした弱点があります。
それは、「気づく力」に差があると、気づく側にどんどん負担が偏っていくことです。
そもそも分担表を作りたくなるのって、「直接言いづらいから、ルール化したい」という気持ちからだったりしますよね。偏りを言葉にしなくても解決できるのが、分担表の良さでもある。決めない方式は、その良さを手放す方式でもあるんです。
うちも産前は、まさに「気づくのは私ばかり」の状態でした。じゃあ、どうやってそこから抜け出したのか——それがこの記事の後半、「北風と太陽」の話です。決めない方式は、放っておいて回るものではなく、回る形に育てていくもの。そのつもりで、続きを読んでもらえたら嬉しいです。
「決める派」と「決めない派」、どっちが合う?
私なりの目安はこうです。
「決める」が合いそうなご家庭
・担当通りにやってもらったことにも、「ありがとう」を伝え合えるタイプ
・お互い、担当がハッキリしていた方が動きやすいタイプ
・「言わなくても察して」より「ルールで解決」が得意
・生活リズムが規則的で、担当が崩れにくい
「決めない」が合いそうなご家庭
・体調や仕事で、日々の余力が変わりやすい(産後はまさにこれ)
・完璧さより、気楽さを優先したい
・「ありがとう」を口に出せる関係ができている
もちろん、夫婦の数だけ形があるので、この目安がすべてではありません。「うちは、どっちのタイプだろう?」——お二人で話してみるきっかけになったら嬉しいです。
産前は、モヤッの連続だった
ここまで書きましたが、我が家は最初からうまくいっていたわけではなく、産前までは、モヤッとすることも多かったです。
家事や掃除は、私が思いつくままにやっていました。私は極力きれいな空間で過ごしたいタイプで、少し散らかっていると片付けたくなる。一方の夫は、散らかっていても気にならないみたいで、そのまま。
ここは育ってきた環境や経験の違いなので、私の価値観を押し付ける形はよくない。そう思って、少しずつ小出しに伝えていきました。
私は「何回まで目を瞑る」といった回数は特に決めていませんでしたが、例えば「3回目まで我慢して、4回目で言う」なんてルールを設けてみるのも、一つかもしれません。
本音は、夫からも提案が欲しかった
妊娠して体がつらくなっても、家事は今まで通り自分の役目のまま——そんな方、実は多いんじゃないでしょうか。
私も、悪阻で辛くなっても、やることは変わりませんでした。
お弁当の用意も、晩ごはん作りも、当たり前のように私の役目。翌朝のための炊飯も、夫のお弁当がメインなのに、何の疑問もなく私が担当していました。時々頼むことはあっても、「これからはずっとやってほしい」とまでは言えなくて。
一つひとつの家事の工数が、一つでも減ってくれたら全然違うのに——。本音を言えば、「俺がやろうか」「今日は俺が作るよ」と、自分から言ってもらえるのが理想でした。
もちろん、言えばやってくれる夫です。でも、何でもかんでも私が指示するのは口うるさいようで嫌だし、できれば自分で気がつける人になってほしい。それに、たとえば10分でも台所に立ちっぱなしで料理をするのが本当に辛いことは、何回伝えても伝わりませんでした。体験していないのだから、仕方のないことかもしれません。言いすぎると「甘えてる」と思われかねないし、私自身「動けるのにやらないのは、言い訳かな」と思ってしまうタイプ。我ながら、人に頼るのが下手だなぁと感じていました。
それでも、流産の経験があった私にとって、最優先はお腹の子。これ以上はまずいかも、という時は、ちゃんとお願いしていました。
ちなみに、後日談がひとつ。夫と一緒にテレビを見ていた時、ダイエット企画で「立っているのは思っている以上にカロリーを消費する」と言っていたことがありました。「今だ」と思って、すかさず便乗。「悪阻の時、本当に10分でも立ってるのきつかったよ〜」と伝えてみると、テレビの情報のおかげで信頼度が上がったのか、「そうだったんだ……」と、これまでよりちょっとは響いていた様子(笑)。私の言葉だけではダメで、テレビの力を借りてようやく少し。妊娠当時に、言葉だけで伝えるのは無理だったわけです。
里帰り後に帰宅すると、「生活臭」
里帰り中、夫に任せてきた家がどうなっているのか、ちょっと不安な方もいますよね。
産後、里帰りを終えて我が家に帰宅した時のこと。玄関を開けると、生活臭がしました。不潔にしていたわけではないと思うんです。ただ、「男の人の一人暮らしで、掃除はしていない」という感じの臭い。散らかってはいなかったので、多分、私が帰る前にざっと片付けてくれたのだと思います。
当時、我が家には掃除機がなく、私は床を大きめのウェットティッシュで数日ごとに手拭きしていました。夫には「せめて週に1回は拭いてね」と出産前に伝えていたのですが……多分、やっていなかったと思います(笑)。シンクには水垢。洗濯後のタオルにも雑菌臭。
でも、正直ダメージはありませんでした。夫は私と同棲するまで実家暮らし。自分の部屋はあっても、「家全体を綺麗に保つ責任」を感じた経験はなかったはずです。それを一気に私のレベル(というとおこがましいけれど・・・)まで求めるのは難しいとわかっていたし、期待もしていなかったから、「あ、やっぱりな」くらい。産後の体で、夫が見ている前で黙々と床拭きをしました。
そんな中、夫が「掃除機を買おう」と言ってくれました。この提案には本当に感謝していて、そこから床掃除の負担は激減。今では床拭きをすることはほとんどありません(掃除機では取れない床の汚れが気になった時に、時々やるくらいです)。どれがいいか選ばせてくれたのもありがたかったです。

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「産後はとにかく安静に」を、どうやって夫に理解してもらう?
私の答えは、自分で言うより、経験者の口から言ってもらう。特に効いたのは、夫の実の親からの言葉でした。
産後は、まだあまり動いてはいけない。そのことは夫にも伝えていましたが、自分で言いすぎると「家事したくないアピール」に聞こえてしまうかもしれない。だから、当てつけがましくならないよう、さりげなく伝える程度にしていました。
そんな中でありがたかったのが、母と義母の言葉です。
里帰りを終えて我が家に戻る時、私の母は「重いものを持ったりしたらダメだよ。いろんなことを旦那さんにやってもらってね」と言ってくれました(夫もいました)。ただ、私の両親は、夫から見たら私側。
だから、何より効いたのが義母の言葉です。義両親が我が家に来てくれた時、本気モードで「赤ちゃんのお世話以外は動いたらダメだよ。水も触らない方がいい(手先から体が冷えるから、という意味)。今しっかり休んでおかないと、後々体が大変なことになるよ」と、夫のいる前で、強く、何度も言ってくれたのです。
少し大げさなくらいの言い方でしたが、夫にはあれくらいがちょうど良かったのかもしれません。夫からすれば産後の体を体験しているわけではないし、私も見た目は元気。危機感を持てなくて当然です。それでも「ちょっとは伝わったかな?」と感じられただけで、十分ありがたかった。それによって、家事を随分と夫に頼りやすくなりましたし、夫も「え・・・」みたいな雰囲気は出なくなりました(笑)。
夫の実の親からの言葉は大きいと思います。ここはご主人と親御さんの関係性にもよると思いますが、義両親が「産後の妻を休ませる側」に立ってくれると、こんなに心強いのかと感じた出来事でした。
分担を決めずに、どうやって夫に動いてもらう?——意識したのは「北風と太陽」
とはいえ、「決めないで、どうやって夫が動くようになるの?」と思いますよね。
私は、イソップ童話の「北風と太陽」ではないですが、「やらせる」のではなく「自然とやりたくなる」方向を意識していました。
まず土台として、同棲していた頃から心がけていたことが3つあります。
・やってくれたら、「ありがとう」を言葉で伝える
・やり方には極力口を出さない。ダメ出しをしない
・まず、自分がやる姿を見せる
実は「ありがとう」については、思うところがゼロではありません。やってもらってお礼を言うのは、裏を返せば「私がやるのが当たり前」という前提がある、ということでもあるから。でも、そこにこだわり始めたら「ありがとう」が家から消えていく気がして。お互い気持ちよく過ごせる方を取りたいので、私は執着しないと決めて、「ありがとう」を伝えています。
そして産後、この土台に加わった一番の工夫が、娘の気持ちの「代弁」です。夫が娘を抱っこしている時に、「パパに抱っこされて嬉しいの〜、落ち着くの〜」と、娘の気持ちを(私が勝手に想像して)夫が喜ぶように言葉にしていました。この話は書きたいことがたくさんあったので、別の記事に詳しく書きました。場面別のフレーズ集も載せています。興味があれば見てみてくださいね。
分担表を作らなかった結果——産後の答え合わせ
そんな毎日の積み重ねで、産後、夫は驚くほど変わりました。
それは産後10ヶ月になる今も、ずっと続いています。
・晩ごはんの後、翌朝のためのお米を炊飯器にセットしてくれる
・シンクにたまったゴミを気にして、時々捨ててくれる
・平日の夜、洗濯を回してくれる
・お風呂の排水溝の毛取りを、毎日シャワー前に捨ててくれる
・土日は、掃除機をかけてくれる
・お弁当も、自分で用意するようになった
しかも休日は、時々ご飯も作ってくれるように。麺類はハードルが低いのか、うどんやラーメン、そうめんが多めですが。
私「今夜何にしよか〜?」夫「うどん?」私「いいね」夫「じゃあ作るわ」という流れです。妊娠中に心のどこかで待っていた「俺がやるよ」が、叶った感じです。
掃除機は、私が毎日かけている姿を見ているうちに、土日の朝の分が自然と夫の習慣に。「まず自分がやる姿を見せる」が、じわじわ効いたのかもしれません。最近は娘が床を動き回るので、落ちている髪の毛に夫自身が気づくようになったのも大きそうです。
一番嬉しかった変化は、洗濯物です。育休中は、夫が回した洗濯物を一緒に干していました。ところが最近は、「私も干すよ〜」と行くと「いいからいいから!!」と断ってくれるように。前までは「ありがとう」と受け入れていたのに、です。娘のお世話があるから、ということみたいで、これは嬉しい変化でした(正直なところ、体のダメージが大きかった産後すぐの時期にこうしてくれていたら、もっとありがたかったのですが……笑)。
それから、プラごみの洗い方まで変わりました。お寿司やお惣菜のパックって、水洗いだけだと臭いが残りますよね。私は洗剤で洗ってから捨てる派、夫は水洗いのみ派。
ところがある日、プラごみのゴミ箱を開けた瞬間、夫が水洗いした刺身のパックが臭って、思わず「くさ!!!」と言ってしまい——夫は、その様子を見ていたのです(笑)。そこから意識し始めたようで、最近は夫も綺麗にしてから捨ててくれるように。狙った一言ではなかったのですが、正直なリアクションが一番効くのかもしれません。
それと、夫の変化にはもうひとつ理由がありそうです。夫の職場に、同じ時期に赤ちゃんが生まれた同僚がいて、休憩時間によく家の話をするのだとか。あちらは2人目のパパ。妻から言われるより、同じ立場のパパ友からの情報の方が、素直に聞けるのかもしれません。
「決める家庭」も「決めない家庭」も、どちらも正解
家事分担をきっちり決めて、うまく回っているご家庭も素敵だと思います。分担表が合う夫婦も、きっとたくさんいると思います。
ただ我が家の場合は、決めずに「気づいた方がやる」+「ありがとうを伝え合う」の方が合っていました。
大事なのは、分担表の完成度よりも、「お互いが気持ちよく動ける形」を見つけること。それは家庭ごとに違っていていいはずです。
この記事が、産後の家事分担にモヤッとしている方の、何かのヒントになれば嬉しいです。
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