帝王切開、術後より術中が辛かった。麻酔が効いているのに、なぜ?

手術室の扉の前の静かな廊下の水彩イラスト

「帝王切開は、術後がきつい」——よく聞きますよね。私は、違いました。
一番辛かったのは、術中。麻酔が効いているから痛みはないのに、「発狂しそうなほど」の不快感と戦い続けた、1時間弱でした。

この記事は、41歳初産・急遽の帝王切開になった私の、手術室に入ってから出るまでの正直な記録です。脚のムズムズ、呼吸の苦しさ——同じ経験をした方の「私だけじゃなかった」に、そしてこれから帝王切開を迎える方の心の準備になれば嬉しいです。
※これから帝王切開を控えていて不安が強い方は、体調の良いときに読んでくださいね。大丈夫、ちゃんと無事に終わった話です。

※この出産の全体の流れは、こちらにまとめています。
▶︎41歳・初産|帝王切開で出産した全記録【体験談まとめ】


手術室に入るまで——夫の立ち会いは「外」だった

夫はもともと、立ち会い出産を希望してくれていました。クリニックからは「時間に余裕を持って来てほしい」と言われていたので、20分ほど早く到着してもらい、手術まで二人で話していました。そして時間が来て、私は車椅子で手術室へ。

夫は立ち会いに来てくれましたが、待機は手術室の外。私も夫も、てっきり中での立ち会いかと思っていたのですが、どうやらコロナ禍以降にそうなったようでした。それでも夫は、手術室に入る用の青い服と紙帽子を着用。赤ちゃんが生まれた時に、夫にも抱いてもらうからなのでしょう。

手術台の上で、恐怖が押し寄せた

18:00〜
手術台の上に運ばれ、服をすべて外されて、麻酔のために横向きに。
人前で、しかも周りはみんな服を着ている中、自分だけ何一つ纏っていない。なんて無防備な姿なのだろう——それまでは、恐怖心なんて全くなかったのに。いよいよ手術が始まると思うと急に怖くなり、泣いてしまいました。
「怖い・・・怖い・・・」
か細い声で泣きながら訴えた私に、看護師さんが「泣く方、多いですよ」。
その一言で、「みんな一緒なんだ!みんなこれを乗り越えてるんだ!」と思えて、少し気持ちを落ち着かせることができました。

麻酔は背中に、3箇所くらい。これが想像以上に痛かったです・・・。
麻酔が終わると仰向けになり、胸のあたりで仕切りが立てられ、胸から下は見えなくなりました。徐々に下半身がじんわりと熱くなっていく——麻酔が効き始めた合図です。それから少しして、手術が始まりました。

18:28、誕生——感動の涙も出ないほど、消耗していた

執刀開始から20分ほどで、赤ちゃんはお腹から取り上げられました。
このとき私は、強烈な不快感と戦っていました(この不快感については、後ほど詳しく書きます)。そんな私の隣にスタッフさんが来て、「聞こえますか?向こうで赤ちゃん泣いてますよ」。耳を澄ませると、確かに遠くの方で泣き声が・・・!手術室は広く、赤ちゃんは少し離れた場所にいたのです。

初対面の「かわいい・・・」

それから助産師さんが、赤ちゃんを抱いて隣に連れてきてくれました。
我が子との初対面は、きっと感動して泣くんだろうな——そう思っていたけれど、術中の不快さと闘い続ける私に、そんな余力はなく。

それでも「かわいい・・・」と声にすると、赤ちゃんの顔がこちらを向いたように見えました。妊娠中、早くからお腹に話しかけていたから、私の声を聞き慣れていたのかな?と思えて、嬉しかったです。

【画像あり】酸素マスク越しの、初めての記念写真

そのまま助産師さんが、預けていた私のスマホで写真や動画を撮ってくれました。笑顔を作る気力すら残っていなかったけれど、写真に残るならと頑張って微笑んで——後から見たら、口元は酸素マスクで覆われていて、よくわかりませんでした(笑)
そもそも帝王切開がどんなものか、ほとんどイメージがなくて。まさか酸素マスクをつけるとは思っていなかったので、これも驚いたことのひとつでした。

帝王切開での出産時の様子

ちなみに、帝王切開で生まれた赤ちゃんは、最初は泣かないことが多いそうです。通常分娩では産道を通るときに呼吸の準備をするため、出てきた時に産声をあげるそうですが、帝王切開だと産道を通らないため。だから、呼吸をさせるために離れた場所へ移動していたようです(蘇生)。

しかも、

赤ちゃんが出ても、手術はまだ続く

赤ちゃんが出たら、それで終わりではありません。今度は傷口の縫合などの処置があり、手術はさらに20分ほど続きました。「ああそうか、赤ちゃんが出てきて終わりじゃないんだった・・・」
もう一踏ん張り、必要でした。

整理すると、誕生までが約20分、その後の縫合などが約20分で、手術自体はおよそ40分。麻酔などの準備を含めて、手術室に入ってから1時間かからずに終わりました。早いですよね。でも私は術中が辛すぎて「いつ終わる、早く、早く」ばかり考えていたので、あっという間だったという感覚はもてませんでした(汗)もちろん、十分早くしてくださったのは承知です。

【画像あり】手術が終わって——「元気な赤ちゃんですよ」

手術室を出てすぐのところに夫がいて、先生が私たちに、手術が無事に済んだこと、赤ちゃんが元気なことを伝えてくれました。帝王切開で生まれた赤ちゃんが呼吸をするまでは平均5分ほどのところ、我が子は2〜3分で呼吸できたそう。「元気な赤ちゃんですよ」と何度も優しく言ってくださいました。
不快感から解放されて意識もはっきりしていた私は、大変な手術をしてくださったこと、赤ちゃんを無事に取り上げてくださったことへの感謝を、その場にいた先生やスタッフさんたちにたくさん伝えました。

ちなみに——赤ちゃんを最初に抱っこしたのは、私ではなく夫でした。赤ちゃんは手術室の外で待つ夫のところへ連れて行かれ、そこで抱っこ。私はまだ手術の真っ最中でしたから。その時の写真は、後から夫に見せてもらいました。
私が初めて我が子をこの腕に抱いたのは、翌日のことです。でも、残念とは思いません。仕方がないことだし、何より——無事に産まれてくれたなら、どっちが先かなんて、もはやどっちでもいいのです。

出産に立ち会った夫が、生まれたばかりの赤ちゃんを抱く姿


術中に感じた、4つの不快感

ここからが、この記事の本題です。
「帝王切開は術後が大変」とよく聞きますが、私の場合は術中が、とってもとっても!!大変でした。むしろ「大変」では言葉が軽いくらい。「発狂しそうなほど」でした。だから、術後の辛さは大したことに感じなかったほどです。

念のため——先生たちの技術を否定しているわけでは全くありません。むしろ腕の良さは評判のクリニックです。私がもともと低血圧気味の体質だから?(病的なものではありません)何かしらの理由で、体に不快感が出たのだと思います。
それでは、どんな不快感だったか。

①脚のムズムズ——動かせないのに、ムズムズが止まらない

これが一番辛かったです。
妊娠中の就寝時に、脚がムズムズして辛いという妊婦さんがいらっしゃると思いますが、あのムズムズです。脚を動かせるならまだいい。でも術中は麻酔でびくとも動かせない——まるで拷問のようでした。
正直、理性を保つのがやっと。体のどこかで力を入れていたくて、看護師さんの手や手術台の手すりを力いっぱい握り続けていました。力を分散しないと、気が狂いそうだったので・・・!この不快感は、手術が終わるまで続きました。

②呼吸の苦しさ——「このまま窒息するのでは」と何度も思った

初めから呼吸器をつけるのですが、これも辛かった・・・。息をたくさん吸いたくても、吸えない。というより、酸素の濃度が薄く感じるんです。酸素はたくさん出ているはずなのに、どうしてでしょうね。「このまま窒息して意識を失って死んでしまうのでは」と、何度も思いました。

苦しさを訴えると、看護師さんは「ゆっくり呼吸すれば大丈夫ですよ」と、繰り返し優しく応えてくれました。慌てた様子はないし、先生たちにも聞こえているはずなのに特に反応がない。「きっと大丈夫なんだな」と信じて、たくさん吸いたいのを我慢して、ゆっくり、ゆっくり。すると少しずつ、呼吸が楽になってきました。ああ、よかった・・・。

③口の渇き——気がつけば口の中がカピカピ

息は鼻でしていたのに、気がつけば口の中がカピカピに。脚のムズムズ、呼吸の苦しさと同時進行です。水分を取りたくても、取れない。なんとか唾液を出して口の中を潤そうと、必死でした。

④吐き気——手術の後半にやってきた

吐き気は後半に来ました。乗り物酔いの感じで、じわりじわりと気分が悪くなっていき、限界が来そうだったので「吐く、吐く」と看護師さんに訴えました。すぐにビニール袋を横にかけてくれましたが、途端に少しずつおさまっていき、嘔吐はせずに済みました。
私はもともと乗り物酔いが人より激しい方なのですが、袋を用意すると安心するのか、楽になっていくことがよくあったんです。今回も、それだったのかもしれません。

実はこの吐き気には、後日談があります。入院中、巡回に来てくれた看護師さんと話していたら、その方もこのクリニックで出産されていて——しかも3人のお子さんを、3回とも帝王切開で。
その看護師さんにも、術中の吐き気があったそうです。曰く、内臓を触られるから、気持ち悪くなるのだと。麻酔が効いていても、その感覚には効かないようで、私と違って実際にすごく吐いたそうです。それが、3回とも。
(ちなみに、別の看護師さんも術中は大変だったようで、先生に「早くして!」と何度も言っていたと笑っていました。)
「すごいですね」と言ったら——「これを乗り越えれば可愛い子に会える、と思うと頑張れて」。
そうだよね、と。私もまた妊娠の機会があれば、あの気持ち悪さも覚悟の上で、このスタンスを強く心に持っておこうと思いました。

そしてもうひとつ——体のガクガク震えが、部屋に戻っても止まらなかった

不快感と呼んでいいのか分かりませんが、もうひとつ。麻酔の後だったか、手術台に上がってからだったかは忘れてしまいましたが、体のガクガクとした震えが始まって、手術が終わって入院部屋に戻ってからも、しばらく止まりませんでした。寒くて体がガクガクする時の、あの感じです。顎もガクガクして歯がカチカチ鳴って、意識では止められませんでした。
麻酔の影響だったのか、恐怖心からだったのか。後から看護師さんに話すと、「普段から低血圧だと、麻酔との相性が——」と、原因を一緒に考えてくれました。ただ、確実な答えの出ない領域なのだろうなと察したので、先生に改めて聞くことはせず、「そんなことにもなったな」と心の中で処理しました。
あとから調べてみると、麻酔や手術の後にはよくある「シバリング」と呼ばれる震えだったのかもしれません。もし同じようになっても、珍しいことではないようなので、慌てず看護師さんに伝えてくださいね。


終わって思ったこと

「帝王切開は術後が辛い」と言われるということは、私みたいに術中の症状と闘う人は、少ないのかもしれません。
思い返せば、帝王切開が決まったとき、先生が「術中に歌を歌っていた方もいましたよ」と教えてくれていました。聞いたときは「そんなものか」と思っていたのですが——いざ始まってみたら、その余裕、来てなかったよー!と(笑)

もちろん、誰を責めるでもないし、人それぞれ。実際、巡回の看護師さんの中には、帝王切開の経験者なのに私の症状を話すと驚く方もいました。ネットでも「術後の辛さ」ばかりが書かれているのを見ると、術中は割と平気な人の方が多いのかもしれませんね。

でも、「麻酔が効いてるから痛くなくてラクでしょ?」なんて、とんでもない!手術中、頭の中ではずっと「二人目はもう考えられない」と何度も思いました。お腹を切られる恐怖なんて、吹っ飛んでいました。それほど、私の場合は苦痛だったのです。

それでも意識はクリアだったので、あの時の光景はきちんと覚えています。母子ともに無事に処置してくださった先生やスタッフさんたちには、心から感謝しています。
もしこれから帝王切開を迎える方がこれを読んでいたら——怖がらせたいのではなく、「こういうケースもある」と知っていれば、いざという時に「あ、これ知ってるやつだ。乗り越えた人がいるやつだ」と思えるはず。私の「泣く方多いですよ」と同じように、この記事がお守りになりますように。

※この記事は、私個人の体験と調べた内容をまとめたものです。体調や症状について心配なことがある場合は、必ずかかりつけの医師や助産師に相談してください。

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